二つの短編を繋げて構成されたらしい本作。そのせいか、全体を通して、少しバランス感が悪い印象。
ここからは余談。
ちょうど児童虐待に関する本を最近読んでいて、その中の一つにまさに移住してきた片親の下で育つ子供について言及されていた。彼/彼女らの子供は、言語の問題などで上手く社会やコミュニティに馴染めないことがよくあるそうだ。社会から排他的な言動を受けることも多いにも関わらず、こうした子たちを掬い上げ、サポートする体制や資源がほとんど確立されていない。
それでも親は子を育てるために朝から晩まで働きにでるしかなく、明日、1週間後、1ヶ月後まで生きることに精一杯だ。
そうした発育環境下で、子供は感情の発露や認知に困難を生じることも少なくない、と。
閉鎖的なコミュニティでは、依存先の分散も難しく、結果としてストレスの露出方法が「信じられない」形になることも想像に容易い。
実際、そういう事件は探せばいくらでもあるし、今でも似たような背景で起こる事件が多々あるしね。
「助ける必要がなさそう」に見える人ほど、本当は助けが必要なのかもしれない。
あと、私も田舎の閉鎖的な側面が嫌で上京した身なので偉そうなことは言えないが、あまりにも田舎を「閉鎖的」で「陰湿」に描く作品が目立つ気がして、「東京と一緒だよ。いいとこも悪いとこも表裏一体なのに」と思ったりした。