だいち

グリーンブックのだいちのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.8
そういう地域だから、周りがしているから、昔からのしきたりだから、、、。意思のない亡霊のような「差別」に寒気がしました。教養を得て成功者になった彼にも容赦なく意思のない差別の目は向けられる。むしろ成功したことで同じ黒人からも隔意を含んだ目を向けられていました。そんな差別に揺るぎない意思を持って挑んだドク。その勇気と為人に触れ変わっていくトニー。手紙を通じてドクを知るトニーの妻。音楽を通じてドクを知ったトリオのメンバー達。彼らを見ていると、差別とは人と関わることから逃げた臆病者達の産物なんだろうなと。プライドの高い孤独な勇者として描かれたドクですが弱さを見せたシーンが2度ほどありました。ゲイの一面を見られそれを知られたくなかったと訴えたシーンと自身の境遇をトニーの視点を通じて見てしまい孤独感に苛まれ叫んだシーン。彼の抱えた苦悩とトニーへの信頼が垣間見えるシーンでした。
さて、翡翠石の場面はどう見るか。トニーは拾った翡翠石を妻へのお土産として考えていたのではないかと思います。お守りはトニーの「デタラメ」で、彼は一文なしであり、持っているお金はドクのものなので、拾ったという大義名分がなければ人の金で買ったものを妻にあげることになる。だから石を返したように見せた後「意味がなくなった」と言ったのではないかと。これは人によって解釈の違いがあるかもしれませんが、、、
何にせよ旅と音楽と会話を通じて気持ちを分かち合い変わっていく2人がとても心地よい気分にさせてくれる反面、その時代根強かった差別という文化にいろいろと思うところが出てくる映画でした。
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