映画好き交流CINEPARA

グリーンブックの映画好き交流CINEPARAのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.2
【じぇれのレビュー】

2019/1/23

【押し付けがましくない爽やかな希望】

身内意識の強いがさつなイタリア系アメリカ人トニーの新しい仕事は、リッチな天才黒人ピアニストであるドン・シャーリーのお抱え運転手だった......

約30年前のアカデミー作品賞受賞作『ドライビングMissデイジー』を彷彿とさせるロードムービー。
しかし、こちらの監督はあの『メリーに首ったけ』『ジム・キャリーはMr.ダマー』のピーター・ファレリー。
シビアな時代背景をしっかりと描きつつも、友情が芽生える様を軽やかに綴り、ほんわかとした優しく温かい余韻を残してくれます。

いやぁ、心地よかった!

キャストでは、ドン・シャーリーを演じるマハーシャラ・アリが出色。気品を漂わせながらも、アイデンティティを確立しきれていない内面を演じきっています。
また、長い指でピアノを奏でる様も美しい! 私も子供の頃ピアノを習っていましたが、あのタッチは短期間で習得できるレベルじゃありません。あんた、天才か!

後述しますが、伝記としての評価は私にはまだ下せません。
しかし、”フィクション”として見れば、かなりの良作。老若男女にオススメできる、ユーモア溢れる爽やかな快作ですので、是非映画館でご覧ください。

※本作の脚本家は、トニー(ヴィゴが演じた主人公)のご子息。そして、ドン(マハーシャラが演じたピアニスト)の遺族からは抗議が。
どうやら2人の間にはビジネスとしての関係しかなく、友情は芽生えなかったというのが、遺族の主張のようです。
もしこれが事実ならば、私の基準では大きく減点しなければなりません。主人公を美化するための改変は、あまり望ましくないと考えるからです。
もちろんテーマを明確にするための改変は自由にやっていいと思うのですが。
(『グレイテストショーマン』もこの基準によって、伝記映画としてはダメだと考えています)
本当ならば、『パッドマン』のように役名を変えて、自由に創作すればいいと思うんですよね。
実名を出すということは、その方々への責任が生じます。しっかりと公正な立場で脚色するという責任です。
もしトニーを一方的に美化しているのだと判断したら、評点を4.2から大きく下げさせていただきます。
作中では、ドンが実兄と没交渉のように描かれており、それが遺族を怒らせたのかもしれませんので、もう少し調べてみます。