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グリーンブックのmakikoのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
3.5
大きな感動があるのではなくて、観ている間ずっと、あぁ、いい話だなぁ、と思える作品だった。
トニーがめちゃくちゃいいやつだし、言動がおもしろくて飽きない。映画序盤にホットドッグを大食いしたときにはもう完全に虜になっていたし、ケンタッキーのくだりのやりとりも最高だった。そんな彼でも、ドクターと触れ合うまでは理由のない偏見をもっている。でも、政治的、歴史的に国や民族同士が仲良くなくても、個人同士は同じ時間を過ごすことで理解しあえる。そのことをドラマチックでなく、2人が過ごした時間を描くことでリアルに描かれていた。私も身近に違う国籍の人がいるのだけれど、会うまでは失礼ながらその国の人にステレオタイプに抱いていた印象があって、でも長く付き合ううちにその人個人の人間性をどんどん知って、今では心から尊敬できる人のひとりになった。今はいろんなバックグラウンドを持つ個人が交流できる良い時代なんだよね。
また、ドクターの孤独も胸にささった。もちろんドクターほどの境遇にいたことはないけど、揚げ足とられないように毅然と振舞うことの苦しさって、みんな社会で多少なりとも感じたことあるんじゃないかなあ。そんなときに、自分の代わりに怒ったり、笑い飛ばしたりしてくれる人がいることの心強さといったら。そんな暖かさを思い出す映画でした。
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