ヌテッラ

キンダーガーテン・ティーチャーのヌテッラのレビュー・感想・評価

4.6
静かな不穏さ。設定は夏なのに空気感がとにかく寒い。いろいろ複雑なテーマが丁寧に織り込まれた作品だったけど個人的に一番印象に残ったのが「教師」という仕事についてくる不均衡に大きな力の危うさ。主人公のリサと天才少年の間にある力関係の非対称性と、力の強い方がそれを無視して「私たちは平等な者同士」とグロテスクなほどに信じ込んでしまったがために越えてはいけない一線を越えてしまう、っていうダイナミクスが、リサの詩のクラスを教えてる詩の教師とリサの間にもあると思った。そしてその力の不均衡さが、大人の顔にフォーカスすると背の低い子供の顔が映らない、逆に子供の顔にフォーカスすると背の高い大人の顔が映らない、っていうシネマトグラフィーを通じても視覚的に表現されてて、さらにそこに作品中で一つのポイントになるperspectives(詩を書くときに誰の視点から書くかetc)のテーマも交差して、上手いなと思った。
ヌテッラ

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