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ジョーカーのpirokiのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.9
まず映画そのもの完成度や演技や音楽については言うまでもなく傑作でしょう
CGを使用しなくても素晴らしい映画が作れる事を再確認しました。
この映画はアメコミ映画という皮を被ったドキュメンタリーとでも言いましょうか、僕はこの映画をただのありきたりなサスペンスなフィクション映画とは思えませんでした。
アーサーが犯した罪は実際とんでもない事でしょう。
いかなる理由があっても人殺しが正当化される訳がありません。
そんな当たり前の事は皆んな分かっています恐らくアーサーも分かっていたでしょうしかし社会にも見捨てられ家族にも愛されず職を失い自らの病気が原因で誰にもまともに扱ってもらえないどころか定期的にリンチされる始末。
一体自分の何がいけないのだろうか?なぜこんな目にあわなければならないのだろうか?どうしてお父さんお母さんから愛情を受けられないのだろうか?また愛してはいけないのだろうか?
自分にとっての憧れのスターにも馬鹿にされる。
同じような目にあった時人間はどのような行動をするのでしょうか?
僕はアーサーと同じような境遇に生まれたとしたらアーサーと同じ事をするかは分からない、けど社会に対して恨みつらみは持つでしょう。誰に対して怒りをぶちまければいいのかさえ分からないでしょう。
アーサーと同じとまで言わなくとも近い境遇の人は社会にたくさんいるでしょう
そういった人達が日本のような先進国でも定期的に事件を起こしています
楽しそうな人を見て腹が立ったとかそんな供述をした犯人も実際にいます。
僕たちが見過ごしているだけでジョーカーになり得る人達は潜在的にたくさんいるのでしょう。
もしかしたら自分もそんな人の事を過去に傷つけたりはしていないだろうか?そんな不安にも駆られました。
この映画を見た後に街を歩く人達の表情だったり今まで見過ごしてた存在に少し敏感になった人もいるのでは?
実力主義が行きすぎた結果社会的弱者の居場所が無くなってはいないだろうか?
そんな事を考えるようにもなりました
この映画から資本主義や格差の問題点だったり人に優しくする事の大切さだったりそんな事に気づけたら良いなと思います
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