YP子

ジョーカーのYP子のレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
1.5

ティーザー詐欺に引っ掛かりました。
はい。もう、びっくりです。


まったくもっての期待外れでした。



ホアキンの演技がすごかったのは確か。だけど、世間が“怪演!”“狂気!”とあそこまで騒ぎ立てるほどだったか?と問われたら私はそうでもないような気がする。

このなんとも腑に落ちない気持ちは何なんだろう...
考えてみた結果...

このジョーカーはとてもリアルだったからだと思った。
リアルな日常であり得る事だと思ったから。

キングオブコメディのパプキンにせよ、タクシードライバーのトラヴィスにせよ、常人ではまったく理解のできない発想や行動を、あたかも間違っていないかのように全力でする姿(もちろん本人はそれが常識かどうかなんてそんな事は考えていないと思う。もしくは分かっててあえてやっている)に狂気を感じた。こちらの考えがおかしかったのかな?と思わせられ、“常識”ってなんだっけ?“正常”ってなんだっけ?ってなる、説明のつかない“狂気”。
「この人なんでこうなの!?」とかってもうそんな経緯を掘り返すよりなにより目の前の狂った姿に目が釘付けになって圧倒される。
観終わったあとに唖然としながら、全身で感じる“狂気”。
言葉で表現することができないほど得体のしれない“恐怖”。


だけど、このジョーカーで絶賛されている“狂気”はざっくり言うと“説明のついてしまう狂気”だった...
なので、なぜ世間が“怪演!”“狂気!”とここまで騒ぎ立てたのかが全然理解できない。

ジョーカー公開をアホみたいに楽しみにしていた半年間。この映画を観た人は大体『誰もがジョーカーになりうる』と、神妙な顔して言っていた。

そう。誰もがなれちゃうのよ。
自分の生まれ育った環境が悪かったり、社会になじめなかったり、貧困だったり、友達ができなかったり、持病や身体の違いでバカにされたり、ほんとにささいな事で誰もが鬱や精神病になる。で、何かがきっかけで殺人などの犯罪に手を染める。
それと同じ境遇にいる人が、その犯罪に共感する。
ゴッサムの場合、ここぞとばかりに今まで抑圧されて人生を耐え忍んでた人たちが便乗してその犯罪を褒めたたえる。
そして、気に入らない事をいう人は殺しちゃえばいいや!ってなる。便乗した富裕層を恨んでる大衆が笑顔で応援してくれているし。
って。



浅い!すごく浅かった!本当に残念。
もっと深く掘り下げ、違った表現ができたはず...観てるこちら側の心臓えぐられるような衝撃とか、拭い去りたくても拭い去れないくらいの悲しみとか、救いようのない絶望とか...

2時間もあったなら、もっと丁寧に深部をえぐりにかかれたはず!
あーもうほんとに残念!



腐敗した町ゴッサムで希望を無くしたこと。

母を面倒みる責任感やプレッシャーやイライラ。
貧困層用に市が予算を出していた精神科の精神科医が話を聞いてくれないこと。そして、その精神科も予算カットでなくなってしまったこと。

誰も自分の話を聞いてくれないこと。

優しく接してもらえてる場面は、バイト先の小人君との普通の会話かエレベーターでたまたま乗り合わせた同じ階の女の人との200%世間話ノリの会話。どちらも優しくされてるわけじゃないけど、普段誰からも相手にされないアーサーにとってはこれは“優しくされてる”部類に思いっきり入ってた。

「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に“笑い”に執着して生きてきたけど、自分が心から笑う事すらできず、貧困層からも抜け出せず、さらには母の裏切りに気づいてしまったこと。

次から次へとアーサーに不幸な境遇が積み重なった。
そしてアーサーは富裕層や自分を裏切ったやつに仕返しを始めた。

同じようなモヤモヤを抱えていたゴッサムの民衆がそれに便乗し始めた。


...。


この映画がいいたいことって、ジョーカーがかわいそうとか狂気とかそういうんじゃなくって、「民衆ってこわい」ってことだと思いました。貧困層が富裕層に対して反抗したラスト。みんなでやれば怖くない的な、あれ。大衆とはそういうものだしね。
そう思うと、別にジョーカーでそれやんなくても良かったじゃん?としか思えない...。





わたしはもっと“得体のしれない怖さ”を予想してた。ジョーカーの持つ“説明つかないほどの狂気”。考えれば考えるほど深層心理まで衝撃でえぐられるような。いやもうむしろ、えぐって!!って思うほど期待してた。この感覚はダークナイトのヒースジョーカーで覚えた感覚。だから今回もそれを欲してた。

だけど、ちょっと期待外れだったな。

『誰もがジョーカーになりうる』なんて、そんなそこらへんにある鬱映画一辺倒の話でまとめてほしくなかったな。誰もがなりうるような狂気じゃないんだよ。ジョーカーは。

狂気だ!怪演だ!

と世間が騒ぎ立て踊らされてるのは、ヒースジョーカーからの先入観としか思えない。

大衆とは恐ろしいものです。
まるでアーサーに便乗したゴッサムの人々のよう。

映画JOKERは、圧倒的な怖さ・正義を揺るがし途方に暮れるほど闇の強さを持つダークナイトのジョーカーとはまったく別モノで切り離してほしい。だからタイトルはJOKERじゃなくてアーサーとかで良かったんじゃないかしら。

あーあ。ほんと、残念!





=====↓↓ 鑑賞前(半年前)の期待に胸膨らんでた頃の前レビュー ↓↓=====


★期待スコア:5.0★

ティーザー映像を観た!

なになになに。なにもうっ!すっごい楽しみ!

ヒースのジョーカーにちょっと似てるスタイリッシュ寄りなジョーカー。ニコルソンジョーカーのコミカルさもあったりするのかな?だったらいいな。

ダークナイトのジョーカーのあの最高の「Why So Serious」シーンでもジョーカーの過去の真相は語られてなかったもんね。
あれだけ魅力的なヴィラン。ダークナイトのヒースジョーカーの不気味さとスマートな所作はあまりにも最強で永遠に脳裏に刻まれてる。ホアキンなら必ずそれに並ぶ最高の作品にしてくれるはず!監督曰く、「悲劇の物語」。あぁ。ホアキンジョーカー。すでに悲しみ/屈折/狂気、捻じ曲がったダークサイドが滲み出まくってたね、ティーザー。あの不気味さは素晴らしい予感。こういう物語にめっぽう弱いわたし。この『JOKER』は身震いしちゃうくらい楽しみ!
デ・ニーロもちょい役で出るみたいだね。yay!なんかのショーの司会役なのかな?ほしたら、司会役だったら...
まさか、勘ぐり過ぎかもだけど、頭をよぎるのは笑いと狂気の男、パプキン...!!もしくは、トラヴィス。怖さ倍増を狙ってきたのかしら。それならもう最高なんだけど。


歴代ジョーカーも最高だし。今回、ホアキンで本当に良かった。絶対最高。


2019年10月9日に全米公開予定だから日本では来年かな。早く観たい!!!


余談:「GOTHAM/ゴッサム」のドラマ版ジョーカーの見た目が、怖すぎます。
YP子

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