えてお

ジョーカーのえておのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.7
Filmaks 主催の試写会をドルビーシネマで鑑賞。

終始ジョーカー役のホアキン・フェニックスに圧倒し続けられた120分。
身体作り、表情、動き、全てにおいて凄まじく、彼の周りだけ漂う空気感が異様で、Hollywood Reporterのインタビューの中でカメラマンのローレンス・シャーが「この映画の特殊効果はホアキンだ」と言っていただけあります。
セリフの無いシーンでも「動いているだけでここまでジョーカーを表せるのか!」と。今まで色々な俳優がこのキャラクターを演じてきましたが、走るだけでジョーカーを表現できるのはホアキンだけじゃ無いかと思います。
彼の演技に加えてジョーカーになるまでのプロセスが、あまりにもリアルに描かれているため、観客がジョーカーに感情移入して彼の悪事を完全に否定するのが難しくなってしまうのでは無いかと心配になる恐ろしい作品です。

また、かなり前から今作品が「タクシードライバー」や「キング・オブ・コメディ」などから影響を受けていると言われていたので、予習として見ましたが、JOKERはこれらの作品の皮を被った紛れもない最高のDC映画だと思います。
溢れかえるゴミ箱やグラフィティまみれの地下鉄は、70-80年代のニューヨークの様ですが、妙にドラマチックで、ウェイン・インタープライズやアーカム精神病院がある正真正銘のゴッサムシティ。
上記の作品の様にキャラクターの内面と視点を追体験するスタイルでジョーカーというキャラクターが形成されて行く様を観ていても、他の主人公達とは違いジョーカーは自分の行動に正当性を見出そうとするのではなく、自分の中にある闇の部分が本当の自分だと気づき、受け入れ、解放する完全悪。正真正銘のヴィラン。オマージュが散りばめられていても、今作品を観た後に見返したくなるのは「バットマンシリーズ」でした。
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