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ジョーカーのryskのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.4

ホアキン・フェニックス、恐ろしいまでの怪演です。
引き込まれすぎて劇場で動悸がしました。
何から書けばいいかわからないですが、間違いなく今年の大傑作ではないでしょうか。

いろんな意味でヤバすぎる。
主演の不安になるほどの怪演、作品全体のクオリティ、美術、音楽、メッセージ性、風刺、社会的影響力
どれをとってもヤバいです。

こんな作品世に放ったら、模倣犯出かねないんじゃないか。
観賞後の一抹の不安はみんなここにあるんじゃないでしょうか。なぜなら模倣犯が出かねないほどの現実性がこの作品の中にある。
抑圧された社会、差別偏見、二極化が進む先進国(日本もまたこの分類になりつつある)
明るい世界で生きてる人が目も当てないような暗がりに「これは僕の物語だ…」なんて考える人が世界中にたくさんいるのではないでしょうか。
誰しもジョーカーになりかねない。

ダークナイトでも少し社会問題になった「ジョーカー」というキャラクターが、本作でさらにジョーカーを本当に一人の人間、生き方、そしてアイコンとして確立してしまった感が恐ろしすぎる。

その一方で「バットマン」は少年たちが夢見る虚構で、漫画の中のヒーローで、
世の中の大人に本気でバットマンになろうだなんて思う人間も居なければもちろん存在するわけもなく。
そんな風に考えると余計怖い。
ダークナイトで「俺は混沌の代理人だ」なんて言ってたジョーカーの大勝利じゃないか。

どんどん落ちていく一人の男の話だが
マイノリティのアーサーにとってはきっと全ての抑圧、世間の目、自責の念から解き放たれたハッピーエンド。
その生き辛さも救えなさもとても悲しい。

観賞後ひとり自分の正義と向かい合って色々と考えてみて欲しい作品でした。

トッドフィリップス監督こんなのも作れるんか…。
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