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ジョーカーのJのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.8
・物語★★★★★
・配役★★★★★
・演出★★★★★
・映像★★★★★
・音楽★★★★

息苦しさを感じさせる笑い声、不気味な笑顔、薄暗いスクリーン、不穏な音楽…
それらがもたらす不快感すらも、鑑賞後の今となっては、もはや甘美で美しくすら感じられます🌈

劇中に登場する「ピエロ姿のビジランテ」というフレーズに象徴されるように、格差社会への不満や憤りを美しき狂気により体現する姿は、反逆のカリスマとして偶像化され、暴力の煽動という形で社会的影響さえも危惧されるという意味では、R15も納得の問題作です🔞

考えてみれば、匿名の仮面を被って他者を攻撃するSNS上のコメントなどは、まさしく「ピエロ姿」の悪魔と言えるのかも知れません😈
必ずしも大衆の共感を得られないという意味では、支持される「ビジランテ」とは対極の卑怯者に過ぎないのかも知れませんが…。


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(※以下、ネタバレあり⚠️)


序盤から中盤にかけては、“アーサー”の抑圧された感情が、観客に入り込んでくるかのような鬱々とした展開。
けれども、それらはクライマックスで狂おしいほど美しく劇的に解き放たれます💥

ピエロのメイク🤡、ド派手なスーツ👔、軽快なダンス🕺、そして鮮烈な血💉…
“ジョーカー”誕生を彩るこれらの演出を伴って爆発した孤独感・疎外感が、バイオレンスという結晶に収束する様は、なんと説得力に溢れていることでしょう🃏


全編を鑑賞し終えた頃には、あの息苦しい笑い声は、痛切な悲鳴のようにさえ聞こえてきます。


トーンを抑えた暗めの映像が中心の本作は、丸の内ピカデリーに導入された「Dolby Cinema」のスクリーン効果が遺憾なく発揮されていました🎥


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劇場用パンフ★★★★★
全38ページ。
これまで数々のコミックスやアニメ、映画に登場してきたジョーカーというキャラクターの変遷や特徴に加え、演じた俳優や監督のエピソードに至るまでを詳細に紹介するコラムは、本作をより深く味わいにあたって格好の読み物です。
町山氏をはじめとする豊富なレビューはいずれも読み応えあり。
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