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ジョーカーのTUのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.6
立川シネマツーにて。

とりあえず『ダークナイト』のジョーカーとは別物だなと思った(他のジョーカーが出てるやつは見てないです)。
この映画で繰り広げられる殺戮は愉快犯みたいなものではなく本当に吹っ切れて気づいたらやっちゃいましたって風で頭で考えるでなく怒りとか悲しみによる激情的な、もっとプリミティブなところからきてる行動だと感じた。
原作がどういうキャラクターなのか知らないけど、個人的には今作のジョーカーの方が好きなのは多分そういう衝動的な気持ちで動いてる方がまだ共感できるからだと思う。

これは個人的にはかなりでかいんだけど、ジョーカーにまとわりついてるネガティブな要素が思ってたよりかなり多かった。障害、精神疾患、失業、貧困、介護、諸々社会的な問題を一通り一人の人間に詰め込んでるようでそりゃこうなってもおかしくないわなと思うと同時に現実にそういう人がいることも多分そうだと想像してみて、一線を超えてしまった各々にそういう避けられないバックグラウンドが少なからずあるのではないかとも考えさせられる内容だった。

見終わってパンフレットなどを見てそもそもの知識が浅かったことや、自分自信が貧困とは遠い家庭環境だったからあまり立場上の共感が出来なかったことで多分本当に刺さってる人よりは全然浅いところで刃が止まってるんだけど、それでもここまでのめり込ませられたのは脚本の良さとか言わずもがなのホアキンの演技力とか素の映画的な要素の力が強かったと言わざるを得ない。
トイレであんなに優雅に踊るシーンは一生お目にかかれませんで。
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