ゆ

ジョーカーのゆのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.7

最初から本当に救いのない映画だった。

アーサーの生きる日常は涙を飲むくらい辛く暗いものであり、ハッピーでありなさいと抑圧がかかる日々。誰しもがジョーカーになりうる側面を持ち合わせているからこそ、どうしても彼に寄り添い、彼の隣で事の顛末を見届けてしまう。

彼に本当の友だちが1人でもいたら、あのバスのシーンで子どものお母さんからかけられる言葉が少しでも違っていたら、彼の人生は変わっていたのかもしれない。

そして痺れるカットが多すぎる、、髪染めながら奇妙なダンスをするシーン。チャップリンの名言のオマージュを想起させるラストカットや、最初と最後で変わる階段のシーンだったり、煙草咥えながらセンターを歩くところ。最後の暴動も美しいとさえ思った。

どうしても触れずには終われないが、ホアキン・フェニックスには完全にやられた。殴られた。
ヴェネツィアで金獅子賞を獲ったということで、アカデミーにもきっとノミネートされるでしょうから、もしホアキンが主演男優賞を勝ち獲った暁にはあのステージでジョークを交えながら高らかに笑い声をあげて欲しいと強く思う。

個人的にはとても満たされた。最高でした。
ゆ