だいき

東京喰種 トーキョーグール【S】のだいきのレビュー・感想・評価

2.0
2019年公開映画115本目。

この作品を食べて無かったことにしたい。

2017年公開映画『東京喰種 トーキョーグール』の続編。
前作は地味ながらも「生きるために人を食さないといけない喰種たちの葛藤」が丁寧に描かれており、その感情を通じて差別や共存の在り方、善悪の捉え方までも幅広く訴えるものを感じた。
それが東京喰種の肝となるところだと思っていたし、役者の芝居もそれらを表現するのにピッタリハマっているキャスティングだった。
それが本作では、とにかく派手なインパクト勝負に出てしまった印象。
確かに月山演じる松田翔太は、彼の狂気と滑稽さが面白くて飽きさせない魅力があった。
それを楽しむには良かったと思うし、それを楽しむための映画だったのだろう。

前作は喰種vs人間の構図がメインだったが、今回は松田翔太演じる狂気じみた美食家喰種と、主人公たちの戦いがメインで(喰種内のことが)描かれている。
また、特に前作の説明はしてくれない不親切設計のため、何らかの予備知識は必須。
作るかどうかわからない「3」への橋渡し、箸休め風作品だと思わざるを得ない出来。
前作と比較するとそれはもう明らかにスケールも移動範囲も狭くなり、CGも少しだけで大人の事情を感じるし、ついでに言うと大人の事情でヒロインも変わっている。
とは言え、その弱くなった部分をそのままにせず、変態グルメイケメン=松田翔太の変態グルメぶりと、CGに頼らぬ肉弾戦で補おうとしているのは好ましい。

しかし、明らかに語る順番が不自然な脚本、ドラマ・アクション問わず何だか暗くてイマイチな撮影など全般に厳しさがあった。
窪田正孝を使っておきながらアクション重視で(重視と言ってもCGはダサい)芝居で魅せるシーンが少なかったり、ヒナミやヒデの続投を大きく報じておきながらモブ扱いだったり、こちらが期待している部分と製作側が見せたい部分とのズレが大きすぎる。
トーカのキャスト変更は仕方ないが、アクション需要のみのキャスティング感は否めない。
日本一酷い目に遭うのが似合う俳優vs日本一人を虐めるのが似合う俳優の好カードは不発に終わった。
尚、続編なのに何故か年齢制限が上がって、15歳以外は観られないようになっている。
間口狭めてどうするんだ。
だいき

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