本作が遺作となったピーター・フォンダと、本邦公開直前に逝去されたクリストファー・プラマーのご冥福をお祈りしつつ。
公開4日前までまったく知らなかったので特に予備知識もなしに、サミュエル出てんのかーへー面白そう~、くらいの気軽さで臨んだことを後悔というか正直すまんかったと床に額擦りつけてる。
いやもうめちゃめちゃ面白いじゃないですか。
実話ベースだってこともまぁ元ネタを面白脚色しちゃってるんでしょ程度に思ってたのはずなのに、劇中の衝撃的な証言も回想も確かに盛ってる感や端折った感もあるはずなのに、最後まで呑まれる呑まれる。
セバスチャンスタンは初主演ということだけど周りの重鎮に見事に寄り添った落ち着きっぷりで、彼の心境の変化と共に近い目線で最後まで状況を見守るうちにすっかり夢中にさせられる。
お目当てのサミュエルはシリアス調でもやっぱり確かな存在感があり、他の帰還者たち共々本作がフィクションの単なる謎解きものではなく、過去と向き合う現実にある思いをしっかり提示してくれる。
個人的にはウィリアム・ハート。素晴らしかった。
一方で回想シーンでの若かった彼らは、現在と対応させるのが若干困難なのは確かでもう少し個別に繋げやすい見せ方が欲しかった気はする。
ただまあそこはピッツェンバーガーの光に全てもってかせるためには仕方なかったのかもなーとも思いつつ。
あと親子ほど離れた官僚と退役軍人との間に年の差を超えた友情と気安さは生み出せるものなのか。スタンが彼らに接する際の君呼びに感じた違和感は文化的な価値観のギャップなのかだけは引っ掛かりつつ。
間違いなく現時点で今年ベストだし、2019年に上映していたなら2019ベストだと推してたおすすめの一本です。