千年女優

ハイ・ライフの千年女優のレビュー・感想・評価

ハイ・ライフ(2018年製作の映画)
2.5
太陽系を超えて銀河を進む有人宇宙船「7」の乗組員で、生まれたばかりの赤子ウィローとただ二人で遥かな暗闇の中を漂うモンテ。時は遡り数年前。全員が死刑を言い渡された銃犯罪者で執行免除を引き換えに宇宙に放り出された九人の男女が、科学者ディプスによる「人の性」にまつわる実験を受けることで陥る混沌を描いたSFホラーです。

パリの高等映画学院出身でジム・ジャームッシュら多くの名監督に師事し、人の有り様や社会問題を独自のアプローチで掘り下げる作風で欧州の映画祭で評価を高めるベテラン女性監督のクレール・ドニが手掛けた2018年公開の作品で、興行収入は伸び悩むもロバート・パティンソンを主演にした哲学的な物語が批評家から高い評価を得ました。

ほとんどの文明的な希望が閉ざされて彼方へ消えゆく人間の様を文字通り「実験」的に描くも、意味深ではあってもこの限定的状況でのそれがどれだけ核心に迫っているかは図りかねるところです。エンタメを拒否したアート志向の表現も些か独りよがりで、ジュリエット・ビノシュやミア・ゴスらキャストの頑張りで成立させている一作です。
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