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プロメアのsakiのレビュー・感想・評価

プロメア(2019年製作の映画)
4.1
新感線にハマっていた時期があり、中島さんが手掛けておられるというアニメも見てみたいと思いつつ、実行できないまま幾年、ようやく見る事ができました。
THXで大正解、音響の素晴らしさを存分に体感できて気持ち良かった!迫力が引っ張る作風をより際立たせられて。
ビビットでハイセンスな画と音が、火の竜のように絶妙に絡み合い駆け巡る感覚。
日本のアニメの3Dの活かし方、良いなぁ。目的ありきで、2Dの魅力も手元に抱かれていて。

誰しもが持つ原罪、無意識にも意識的にも、平等とは程遠い現実に目を逸らさずには生きられない人間、それは神話に擬えるまでもなく…
といった見方も味わいつつ、どんどん頭カラッポにしてのめり込む楽しさに没入。それもまた映し鏡としても。

叫ぶぞバトるぞ!
ドーン!と出たお山のフォントが離れても残ってる感じとか、かわいい。名付けに相方ツッコまねーなと思ってたら相手がツッコんだね!

堺さんも好きだったので、蛮幽鬼から10年と知り遠い目になりましたが。威厳じみた響きの内にある揺れがヒビから大量に溢れ出す、それでいて活き活きしたこの感じ、やはり個性的な表現をされるなぁ。

松山さんの巧みさに、早乙女さんの透明感に、勿論本職声優の方達も流石で。中でもアニメらしい声の役柄の方とも、緩急楽しむリズムが合っていて、違和感無く仕上がっていました。

単純バカながら、裏切られようと一切腐らず、無知だし間違えもするけれど常にその時己がすべきと見定めた道を突き進むガロは、一人の人間という枠がなし得る清々しさを体現していて。

リオ含め、三者三様に「全てに思いを馳せれば身動き取れないので、捨て置いている概念や視点」があり「何よりも、の優先事項」がある。一般市民だったり、検知できない世界だったり。曖昧たる英雄と大罪人。

全てを手繰り寄せる事が出来る者など、この世に一人もいよう筈がなく。
無自覚と故意、世間や世情、個と世界…。
燃やし尽くさないと見えない、先の光景。
過去が燃えた、結果論とでも言える現実。
そうして、どう己に落とし込むか、の生をどう燃やすか。

普遍的な物語に答えなど無いけれど、作風と合致する煌めきを楽しみました。
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