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サマー・オブ・84のGODZILLASAURUSのレビュー・感想・評価

サマー・オブ・84(2017年製作の映画)
3.5
「この終わりかたは」

ネタバレあり


よくあるジュブナイル作品は、ハッピーエンドではないにしろ、バッドエンドであることもない。
しかし、本作は救いようがないキレイなバッドエンドで、個人的には好きだ。

ただ、この結末ではなく、よくあるマトモな結末であれば、本作はできの悪いジュブナイル作品になっただろう。

舞台が1984年ということで、80年代作品の雰囲気を映像や音楽、車や衣装などで再現しているのがよかった。特にキーボードを中心とした電子音による音楽を多用しているところが80年代っぽい!

どうしてもスタンドバイミーやITと比べてしまうが、本作は少年達の描き方が浅く、彼らのバックグラウンドも大して見せられることもなく物語は進んでいく。
主人公が、隣人が殺人犯かも疑念を抱いたことから、仲間との調査が始まるが、大きな失敗もなく、彼らが作品の中で成長する姿も描かれない。仲間との結束が強くなるような展開もない。
ヒロインポジションの女の子も、ITのように最初から仲間ではなく、最後の良いところだけ輪に入ってくる。なんであなたが急に?感が強い。

ラストまでは正直つまらない。

全てをぶち壊すラストが良い。
犯人は捕まらず逃亡。
母子家庭だった仲間の1人が殺される。
主人公はアキレス腱を切られる(長く後遺症が残るだろう)。
そして犯人は主人公を殺さず、主人公がずっと犯人に怯えながら過ごさなければいけない人生という精神的ダメージの大きい選択を取る。
その後の街では、ヒロインは結局親の離婚で引っ越し、殺された仲間の家は売られ、残りの仲間の2人は目も合わせてくれない。

人は決して本性を見せない、主人公の最後のセリフ。
彼は死ぬまで人を信じられないようになってしまっただろう。
こんな悪い終わりかたのジュブナイル作品はあっただろうか?
それだけで星を増やしてしまった。
ラストがなければ星2つ。あの結末で星3.5。
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