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吐きだめの悪魔のMikiMickleのレビュー・感想・評価

吐きだめの悪魔(1986年製作の映画)
3.8
1986年制作の伝説のカルトB級…いや、Z級ホラー‼人体溶解ホラーの最高峰‼ ずっとずっと見たかった吐きだめの悪魔がやっと見れた‼
1回だけの上映。これをカリコレで上映してくれたシネマカリテさんに感謝‼

アメリカ、ニューヨークの裏路地。
街は荒廃しており、ホームレスに溢れている。
自動車廃棄工場は、彼らの寝床と化していた。
酒屋のエドは地下で60年前のお酒「ヴァイパー」を見つける。それを1ドルで売り出すことにしたが、1口飲んだホームレスが次々に溶けていくという話


とにかく汚いです
登場人物の8割がホームレスで半端なく汚いし、匂いまでしてきそうです
出てくる人は全員まともじゃないです
そんな彼らの数名がデロデロに溶けていくのだけれど、これが本当に素晴らしい‼‼ 紫・青・緑・黄色・オレンジ・赤・ピンクと、人によってそれぞれカラフルな体液がグジョグショになり、体液のレインボースプラッシュですっ🎵🎵🎵
皮膚が裂けたり、骨が溶けたり、爆発したり、溶解デロデロ液がかかった為に溶けちゃったりと、方法も人それぞれでバラエティに富んでます‼‼
素晴らしい溶解っぷりです🎵CG無しの特殊メイクによるドロドロ溶解の素晴らしさ‼ 目を見張るものがあります‼ 感動します‼‼

ちなみに1番最初に溶けるのは、お酒を盗んだホームレスで、廃屋の便座に座りながら飲んだために、ドロドロになって便器の中に落ちていきます‼ 最後に残るのは便器の顔‼‼

過去の上映及びソフト化では映倫の規制のために画面に色が付けられていたらしいのだけど、今回はリアルな色でのHD仕様での初上映‼ 故に、画面が非常に綺麗‼‼ 綺麗で汚い。綺麗な汚さ(笑)
名シーンである、切られたアレのキャッチボールでは、澄み切った美しい青空のもと、空を舞うアレがスローでキラキラと映えていました‼

さて、ストーリーに戻ると、一応主人公は、その自動車廃棄工場に隠れ住むフレッドとその弟。フレッドは、僅かなお金やらお酒をくすみ、その為に追われたり暴行されたりと…
しかし、その中で感じる友情や兄弟愛もあり。浮浪者たちは、常にお酒を求め、最初の被害者もフレッドが酒屋で盗んだそのお酒を更に盗んだもの。そのお酒への欲望が、どんどんと溶解を生んでいきます…そういった吐きだめの廃棄工場の浮浪者たちの描き方は、やけにリアルを感じたりします。
ホームレス一帯を牛耳るブロンソンは元ベトナム兵士でPTSDを患っており、突然凶暴化したり、現実が混ざったような夢を見たり、ヴェトナムの悪夢から抜け出せずにいます。彼の女は頭がプッツンしており、オムツのように大きく汚れまくった下着や赤ちゃんを抱っこする振りなどは悲しさすら感じるのです。
一般人も被害にあったため、剛腕刑事のビルはこの溶解事件を担当しブロンソンを調査するのだが…一方、フレッドの弟ケヴィンを可愛がるアジア系女性のウェンディや、ウェンディにセクハラする工場長の巨漢デブ上司や、イタリアンマフィアのニックや、その女や、まるで世紀末の様なホームレスたちや。まさに吐き溜めに生きる人々の様々な人間模様が絡みあい…… といっても、悲壮感はないです。

監督はジム・ミューロー。カメラワークが素晴らしく、冒頭の逃げ回るフレッドの姿や、廃棄場での360度の回転やら車への追突の迫力やら、工場長に襲われそうになるウェンディの足のアングルやら、工場内の緊迫感ある追いかけっこやら、溶解のアップやら、それだけでも面白みのあるものでした‼(この作品はミューローの初長編作品で元々は映画学校の卒業制作だったらしいです。ミューローは後にステディカムの第1人者となり『ターミネーター』『マイアミ・バイス』『タイタニック』などに参加。)

音楽もゴブリン調な緊迫感ある重低音の音楽から突然陽気なコメディへと変わっていく面白み‼‼ 楽しい

緊迫感と、少しの切なさと、個性的すぎる登場人物と、エロくないエロと、周りにこういったホームレスがいたらというリアルな怖さと、顔のニヤケが止まらない唐突なアホなコメディとブラックユーモアと、ニヤケすぎる素晴らしすぎる愛のある溶解ドロドロ描写とが絶妙に組み合わさる、本当に最高のB級映画でしたっ‼‼

ラストの上部ぶっ飛びとパンチラを追う目線も最高。 エンドロールの曲も最高www‼(映画館じゃなかったらお腹抱えて笑ってたw)
なんか、トロマの『悪魔の毒々モンスター』と『死神ランボー』を合わせて、レベルアップしたような感じかなぁ…… いや、トロマも素晴らしいけど♥(追記。特殊メイクはトロマのジェニファー・アスピナルさんだった‼)

さて、今回は江戸木純さんと、この作品を世に出した日本ヘラルドのベストアクションシリーズを担当していた谷川健司さんとのトークショーがありました。『吐きだめの悪魔』は「掃き溜めの鶴」をもじって名付けられたものだとか、 当時のなんでもありな配給状況も聞けて面白かったです。
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