てばさき

クワイエット・プレイス 破られた沈黙のてばさきのレビュー・感想・評価

4.0
前作に引き続き、音を立てると速攻で殺しにくる「何か」達との、神経削られまくるギリギリの攻防戦再び。
相変わらずの強烈な臨場感でした。

この世界で生き延びるにはまず上記の「何か」に見つかる事を避けなければならないため、登場人物が実際に声を発せられる場面はごく少なく、一部に手話を用いながらも会話自体を極限まで切り詰めた息つまるような雰囲気に、映画館にいる側も自然と無駄な音を一切立てられなくなります。笑

そんな厳しい縛りがある中でも、家族関係を含めた人間の描き方がしっかり丁寧なのも魅力でした。
前作終わりで出産したばかりなのに「何か」達の襲撃で家を失くし、やむを得ず探索に出ることになった母親の悲壮感漂う姿が胸に刺さります。
赤ちゃんはいつ泣き出すかも分からない生き物なのに、一体どうすればいいのか???
見てる方が絶望的な気持ちになってくるのですが、なんとキワッキワでピンチを切り抜ける方法が編み出されていたのでした。生存本能って素晴らしい。

今回はシリーズのキーになる存在、聴覚障害持ちである長女リーガンの勇敢さと意志の揺るがなさも素晴らしかった。前作での父とのすれ違いによる葛藤を乗り越えて、いつの間にかこの子めちゃくちゃ強くなってます。
両親の友人である絵の上手いやや繊細そうなおじさんと行動するターンでも、大人に助けられる一方の側かと思いきや、相当な安定感でした。
リーガン強い。
そんな姉と比べたら全然弱気に見える弟マーカスの成長もこれまたグッときます。

三部作とのことなので、この家族がこれ以上犠牲を出さずに最後まで無事に生き残れることを祈りつつ。
前作見なくても一応話は分かるけど、「何か」達への唯一の対処法が分かるくだりの興奮度はやはり1作目が最高潮でした。父親との泣ける展開もあるので、これからの人は是非1作目から通して見て欲しいと思いました。

映像的には寂れた廃墟や廃線路好きとしても楽しめるシーンが随所にありました。文明崩壊してからまだ何年も経ってない筈なのに人が激減してしまい、あっという間に荒廃が進みつつある世界観。
私の冒険物やミステリーホラー好きは廃墟嗜好とも深く結び付いてるんだなと、この映画を見てから今更気付いた次第です。
てばさき

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