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蜜蜂と遠雷のnanahatiのレビュー・感想・評価

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
3.8
原作未読。学生時代にクラシック音楽の世界の末端にいたので、演奏者のストレスはレベルは違えどある程度共感できる。

本作の白眉は演奏シーンではなく、演奏家の葛藤。
松坂桃李が素人の奥さんにカデンツァを聴かせるところ。アルゲリッチも自分も同じに聴こえると言われ、切れる。全然違うわー!自分が一番わかっとるわー!
生活者の音楽、は、言い換えると二足のわらじであり、演奏のみに没頭できる環境を作る金、覚悟、才能を持った方々にはコンクールでは勝てない。また、没頭していたら負けるわけにはいかない。そのあたり、現実的で良かった。

ピアニスト達の物腰や、違和感があるほどの距離の近さ、滲み出る品の良さ。リアルであり、役者が頑張っていた。

オケとのアンサンブルのイライラ感。年長者のブレイヤーや、実績のある指揮者、自分のやりたい様にやるには難しいよね。主張を通し実力でねじ伏せるか、自分が折れて、全体のクオリティを上げるか。このあたりもgood。

肝心の演奏シーン、ピアノやオケの音われてない?演出の意図か?気になった。

また、松坂桃李以外は事前のドラマや特訓描写が少なくカルタシスに欠けた。
ラストに大曲ドーン、演奏者ニコー、で終わる映画ではスウィングガールズやボヘミアンラプソディーの方が好み。

あ、あとブルゾンはマジで邪魔、ダメウーマン。
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