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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのbennoのレビュー・感想・評価

4.5
Apple Original Filmsの異色作であり、ディカプリオ×デ・ニーロ×スコセッシ監督…初の三つ巴!!

206分という長尺で躊躇してましたが…《オッペンハイマー》と共にオスカーの本命との呼び声も高いので満を持しての鑑賞…。

蓋を開ければ…凄い!! あっという間とは言いませんが…観終わった後の満足感!! 米国の裏歴史…白人の加害性を暴いた監督の叫びが刺さりまくりました…。

原作はデイヴィッド・グランのノンフィクション《花殺し月の殺人》…未読です…。


冒頭のオセージ族の映像からロックオン!! かつて彼らは白人開拓者に追われミズーリ州やカンザス州を去り何もないオクラホマ州に拠点を構えます…。

しかし1920年代…その地で石油が発掘!!

オセージ族は巨万の富を得ます…当時、彼らの召使いや運転手を務めていたのは白人…とても違和感のある映像で目を見張ります…。

そしてオイルマネーに群がる白人たち…オセージ族は彼らの搾取の対象となり、相次ぐ殺人事件が…。


音楽もめちゃいいです♪…元ザ・バンドのロビー・ロバートソン♬ 彼自身もインディアンの血を受け継いでいるそうです…ブルースが映像に溶け込んでとてもカッコいい…サントラは即プレ🐿️…ෆ*



  〜〜〜⚠︎以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜












兎に角怖い!! 優しい物腰で目の奥が笑っていない…オセージ族の後見人ヘイルa.k.a.キング役のデ・ニーロ…真骨頂の恐怖の威圧感ს…神の言葉を巧みに扱い、自身を神格化します…。

その甥アーネスト(ディカプリオ)は叔父ヘイルに逆らえない気の弱さから陰惨な犯罪に手を染めていきます…しかしオセージ族のモリー(リリー・グラッドストーン)と結婚し、彼女を愛する気持ちも持ち合わせた複雑な心情表現は流石のディカプリオ…後半のしゃくれ顔が見もの!! …観ている私もしゃくれてきます꜆꜄꜆

ただ何と言っても素晴らしかったのはふたりの名優に挟まれたモリーを演じたリリー・グラッドストーン…憂いを帯びた大きな瞳…物静かな佇まいの中にも凛とした魂の強さを感じ、時に何かを見透かしたような神々しさ…。

大判ショールのようなインディアンブランケットを纏い、結婚式の衣装はウエディングドレスではなく大きな帽子に軍服…また、フクロウや今わの際の幻想的なシーンなどオセージ族の独特な慣習や死生観の映像も魅力的です…。


そして町で起こる連続殺人事件…当時オセージ族の不可解な死が相次ぎますが…No investigation (捜査せず)…彼らは人間として扱われることがなかったのです…モノクロのフィルムが差し込まれる演出も絶妙…。


“You got a better chance of convicting a guy for kicking a dog than killing an Indian.”

   犬を蹴ったら(刑務所に)ぶち込めても…
     インディアン殺しじゃ難しい…。


終盤は漸く国へ直訴…オセージ族殺人事件の捜査、裁判へと展開します…。

そしてダメ押しは後日譚の公開ラジオ放送劇《実録犯罪シアター》…監督自身が記事を読み上げます…白人としての《贖罪》の思いが感じ取れ胸が苦しくなりました…。

そこからのエンディング…まさにフラワームーン✿︎…鳥肌が立ちます…。

そして…蝿の演出が上手い…ෆ*
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