のい

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章 新星篇<最終章>ののいのレビュー・感想・評価

5.0
想像以上に名作だった…
こんなに奥深い話だったとは…

ヤマト、というものが登場する以上、先の大戦のことを思い起こさずにはいられない
もちろん自分は戦争未体験ではあるが、艦これ、というゲームのおかげで、大戦の折に沈んだ沢山の艦とその艦に乗っていた人々の事を思わずにはいられなくなった

ヤマト、という艦がどれほどに特定の人たちの想いを駆り立てるものかは、少しは理解できるようになれたのではと思う
このアニメは、戦争を骨身に染みて味わい尽くした人の想いから生まれた祈りの形ではないかと思う

ヤマトというものが象徴するもの、戦で命を落とす一井の兵士たちの想い、いのち、人というものの持つ業、例え不条理で理不尽なことと分かっていながら「誰かがやらねばならぬ」状況…その中でどう選択するか、どう生きるのか…それらを思い尽くした末に産み出されたものではないかと感じた

命がどこから生まれ、なぜこの世に、この宇宙に、人が存在するのか…
愚かさと美しさを幾重にも紡ぎながら生きているのか
その問いかけを続けていれば、霊性の領域に到達するのは当然で、むしろ人という存在を問いかけ続けてそこへ至らない方がこの世の事象の片面しか捉えてないことになる
人とガトランティスとの対比、そしてテレサの存在が、この物語が初めからそこに収束することを示していたが、そうか、こういう描き方をしたのか…と感じいった

今どきのアニメは異世界だの異次元だのへいくらでも簡単に行けるし、だだの異能力発動スイッチみたいに描かれることは多いけど(それも嫌いじゃないけど)この作品の描き方はとても真摯なアプローチをしていて逆に新鮮だった
物語のあらゆるディテールに深い思索の断片を感じさせてくれ、それだけでも満ち足りるものがあった

この作品は、人の「心の力」を描いている
人を人たらしめるもの
思えば最初っからずっとそうだった
「星は、宇宙は、ただそこに在るだけ。そこに意味を見出すのは人の心」
テレサの言葉通り、絶望も希望も愛も人の心が紡ぎ出す

この作品は、見るものの人生の体験の深度によって、受け取るものが変わるタイプの作品ではないかと思う
数年後に見たらまた感じるものが変わるのではないかな

最後に、ヤマトが大和であったことに敬意を
のい

のい