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キングスマン:ファースト・エージェントの福福吉吉のレビュー・感想・評価

3.5
◆あらすじ◆
1914年のイギリス、オーランド・オックスフォード公は戦争を忌み嫌い、赤十字活動に従事していた。オーランドは執事のポリーの尽力により独自の諜報網を構築し、世界大戦を招く元凶を叩くべく動くのだが...。

◆感想◆
イギリスの独立諜報機関「キングスマン」の誕生までを描いた作品となっており、主人公のオーランド(レイフ・ファインズ)が生涯を通じて、戦争の根本を絶つべく孤軍奮闘した姿が描かれていました。

ストーリーとしてこれまでの「キングスマン」のシリーズと違い、シリアス一辺倒になっており、かなり重めのストーリー展開で違和感を覚えました。これまでのキングスマンの楽しい部分は皆無であるため、その点で好みが分かれると思います。

オーランド・オックスフォードはイギリスの名門貴族であり、元軍人だが戦争に嫌気がさして赤十字活動に従事しましたが、その最中、夫人が凶弾により命を落としてしまいます。息子のコンラッド(ハリス・ディキンソン)は成長するにつれて、国のために軍に志願したい意思を示しますが、戦争の内情を知るオーランドはそれを拒みます。このあたり、オーランドの気持ちが痛いほど伝わってきて、コンラッドの戦争の内情を知らない無垢な愛国心と対立するシーンはとても心に響くものがありました。

本作の敵は、いとこ同士であるイギリス王とドイツ皇帝、ロシア皇帝の3名を仲違いさせて戦争を引き起こそうとするものであり、第一次世界大戦を絡めた面白いストーリーになっていました。敵には実在したラスプーチンなどの人物がいて、それぞれ個性的に描かれていて毒味が強くて面白かったです。

オーランドを支える存在として執事のポリー(ジェマ・アータートン)とショーラ(ジャイモン・フンスー)がおり、主人に忠実ながら主人のダメなところにはしっかり指摘できる優れた人物であるとともに、そのキャラクターはユニークで本作のシリアスなストーリーに緩みを作る良い役割を果たしていました。

アクションシーンはかなりユニークに味付けされていて、どう見ても死んでしまいそうなシチュエーションを辛くも生き延びるスリリングなものになっていて、当時のパラシュートの頼りなさなど時代に合ったものが用意されていました。

「キングスマン」という名称にとらわれなければ、シリアスでスリリングなストーリーとして十分に楽しめる内容でなかなか面白かったです。

鑑賞日:2024年4月23日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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