KosukeGoto

ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒のKosukeGotoのレビュー・感想・評価

4.0
「どうやって撮ったの!?」と映画を見ながら思うこと。この驚きは、今となっては、単なる技術論になってしまっているかもしれませんが、実は映画の初源的な楽しみ方のひとつだと思います。とりわけCGの登場によって、カメラで現実に存在しているものを撮っているわけではないという前提に慣れきってしまった私たちは、映画を見ながら「どうやって撮ったの!?」などといちいち考える感覚の回路をすっかり失ってしまいました。

そんな、観客が忘れかけてしまっている初源的な驚きが突然呼び起こされてしまう表現方法がストップモーションアニメなのではないでしょうか。ただし、スタジオライカのストップモーションで面白いと思うことは、KUBOを見たときから思ったのですが、質感や動きにストップモーションらしさというのが全然なく、言われないと気がつかないくらいであるということです。スタジオライカが作品を重ねるごとにやっていることは、ストップモーションから手の痕跡を消していくことのような気がします。その結果、CGアニメにも見えるけど、CGアニメとも何か少し違う、いい意味で曖昧な立ち位置の表現が生まれています。これは、CGアニメを「どうやって撮ったの!?」と思いながら見られる感覚のような気がします。そんな不思議な感覚の回路を内蔵した作品を、微妙な塩梅を必要とするにもかかわらず、軽妙洒脱に仕上げてしまうところ、かっこいいです。
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