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影裏のshowのレビュー・感想・評価

影裏(2020年製作の映画)
3.0
■人間の表と裏、さらにその奥

人間には裏表、光と影があって、それが映画や小説のテーマになることはよくある。ただこの映画タイトルは「影裏」。「影のさらに、裏」だ。だとすれば、映画が描くのは「人間の表と裏」じゃなくて、人間の表と裏、さらにその裏の奥、という三重構造になっているんじゃないか。

三重構造で思い出すのは、フロイトのイド・エゴ・スーパーエゴという概念だ。エゴが本能的な衝動、無意識でふだんは見えないところ。だとすれば、「影裏」は「エゴ」の部分を指しているんじゃないか。そう思うと、日浅が物語の後半、エゴの権化のような存在として描き出されていくのもよりよくわかる気がする。日浅の非人間的な人物造形も、スーパーエゴの形成に必要な母親の不在が影響しているんじゃないか。

一方の今野は、スーパーエゴが強く機能しすぎていて、社会からやや孤絶した存在だった。それを、エゴの権化である日浅によって中和されイドをコントロールできる人間になった、という話なんじゃないかと思った。
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