TADASHI

ジャック&クロックハート 鳩時計の心臓をもつ少年のTADASHIのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

まさかジョルジュ・メリエスが登場するとは…

陶器の人形のようなキャラクタービジュアル、かつダークファンタジーな世界観。多くの人がティムバートン(しかも特に『コープス・ブライド』)が好きならハマるかもというのは、分かるかも。
ミュージカル仕立てなんだけど、そのビジュアルに反して曲は後半特にロックとかビジュアル系っぽい。なんか、そういうののPVって感じにも見える。

主人公ジャックの設定が面白い。
吹雪の日に産まれたジャックは、心臓が凍った状態だった。助産師マドレーヌが凍った心臓を鳩時計付け替え、なんとか一命を取り留めるジャック。しかし、鳩時計の心臓を正常に動かし、生きるためには「1、時計の針に触れない。2、怒りを抑えなければいけない。3、恋におちてはいけない。」という3つのルールを守らなければならない。特に3つ目の「恋におちてはいけない」というルールは、ジャックの心臓である鳩時計がその負荷に耐えられないため、一番守らなければならないルール。
このハンデの上で、街で出会った少女と恋に落ちてしまうというストーリー。
主人公のハンデがなんか切なくていい。
「恋をして情熱的になればなるほど、死が近くなる。」ここに関しては、そのハンデが時計というビジュアルと仕組みを持っているというのもあってとてつもなくハマった。

主人公達が恋に落ちるの早過ぎ、しかも1回会ったっきり。ライバルキャラ(?)がそこまで主人公に対して感情を持つ理由が薄い。主人公達の年齢(14歳前後)でするような恋愛じゃねぇ…などなど、話は所々唐突だったり、設定にごちゃつきがあるように感じるところはあるが、結構楽しめた。

ちょいちょい歴史上(?)の人物が出てくる。メリエスは分かるんだけど、ジャックザリッパーに関しては必要だったかな?
メリエスのシーン、舞台セットに月世界旅行が…メリエスとの曲も舞台セットっぽくていい!主人公との旅でも面白いものはすぐ撮っちゃう。メリエスの作品のオマージュ等々あるけど、これ知ってないとわからないやつ…。「月への旅行…」の台詞とかまさに。

終わり方が個人的には好き。
アニメーション映画でこの切なさはいい。
しかもおそらく息を引き取ったのかと思われるシーンを時が止まるという演出はニクイな。
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