ここ数年、チカーノ・ソウルやローライダー系の音楽を結構よく聞いており、その流れで目に止まった本作。普段の生活では決して会うことがない、ヤバい人たちがゴロゴロでてくる興味深いドキュメンタリーでした。
主人公のKEIさんは若い頃はヤンチャで米国の刑務所に服役するくらいのワルでしたが、今は子供ボランティアに勤しむ良き家庭人です。
やってたことはひどいんだけど、人間的には愛すべき面もある=共感すべきか、反発すべきか、見てる側が悩んでしまうような、善悪を突き抜けた感じの人物像が新鮮でした。「昔の悪行を反省して、罪滅ぼしで社会貢献してるわけじゃない。どうやったって昔の悪行は消せない。今、自分にできることをやってるだけ」という振り切った発言がとても印象的でした。
本作のキーワードは「Homie」(家族?)。幼少期に両親に見捨てられたことで家庭の味を知らないまま非行に走ったKEIさん。後年、麻薬でアメリカの刑務所に収監され、チカーノ系のギャングの仲間になり彼らの「ファミリー」(仲間)を大切にする精神に感じ入る。日本帰国後、チカーノ・カルチャーを広めるためにファッション・ビジネスに手を出したり、子供ボランティアに精を出すのは彼なりの「ファミリー」作りなのでしょう。
KEIさんの昔の友人が何人も出てきますが、皆様、年取ってもヤバイ匂いがプンプンしてます。あと彼の母親もインタビューに出てきますが、まあ自己中の塊のようなお方で、この場面のインパクトはすごいです。
観ている間は、深夜のファミレスで極め付きの不良だった先輩の昔のヤンチャ話を聞いているような気分でした。やってることはひどいんだけど、人間や話が面白いんで不謹慎だけど笑っちゃう、って感じかな。