とにかく宮澤りえ演じる美知子が強いのよ…女手一つで子ども3人の面倒を見て、他の女といるところを見ても気丈に振る舞い献身的に支え、家庭を壊してでも本当の傑作を書けと言い切る。誰よりも太宰の才能を信じていたのは間違いなく美知子だ。他の人物が揃いも揃って不安定だから、美知子の強さがより際立つ。
そして太宰のすごいところは女がその時欲しているもの、欲している言葉をきちんと理解して情熱的に囁くところだと思う。彼は「君は僕のことが好きだ」と言い放って自信に満ち溢れているように見えるけど、こちらが必死で求めないとすぐに消えてしまいそうだし、人間はどうしても禁断の愛とか死とか曖昧で儚くて危険なものに惹かれてしまうし、太宰が女を魅了したり作品が売れるのはそういうことなんだろうな。
