おりな

人間失格 太宰治と3人の女たちのおりなのレビュー・感想・評価

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上映中、観客の誰かが気が触れちゃって殺されちゃうんじゃないかってゾワゾワしてた。

他人を欲すること、その辻褄が合わなくて破壊もしてしまうこと、人の色んな形のエゴイズムに圧倒されてしまい…
きっと誰もが本能的に持っている"ニンゲン"の部分に、観てる間も観終わったあとも、それらがいつどんな拍子で露出してしまうのかと過敏になってしまいました。

その"ニンゲン"を露わにしたい人も、律することを美徳にする人もいる。
剥きでるものと戦いたい人も、炊き上げたい人もいる。
一人の内省的な満干から生まれる磁場みたいなものが、他人と引き寄せあったり反発しあったりして、世の中はギリギリ綺麗な球になってるのかなと思ったり。

何はともあれ、甘美な堕落、引き留める理性、不埒の快感。身近で、怖い怖い。

「ヘルタースケルター」色を求めてた自分には最初物足りなかったけど、結果使い所が絞られた蜷川さんのビビッドな色彩が個人的にはいい煽りに。

宮沢りえと二階堂ふみの人としてのギリギリ感には、もう眉を顰めつつ何か涙が出てきてしまうような気持ちの震えもありました…
おりな

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