なか

ジョジョ・ラビットのなかのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
3.8
第2次大戦時のドイツ。10歳のジョジョ少年は弱く優しい男の子であり、心にヒトラーというイマジナリーフレンドを持っていて日々励まされていた。

ナチス的な思想を強く持つ彼はヒトラーユーゲントのキャンプにて立派な兵士になるため奮闘するが未熟さから事故に遇い大怪我を負ってしまう。

後遺症により除名され失意のどん底にある中、自宅で匿われていた17歳のユダヤ人少女を見つけ、交流することとなる。

植え付けられた思想や価値観と本当の強さや正義の間で悩み葛藤する10歳の少年の姿が良い。史実では凄惨な出来事ではあるものの、空想の友人であるヒトラーや軍の人々などがコミカルに描かれていて面白く暖かい物語です。

戦争や大人の真似事をして強く賢くなったつもりでもまだまだ子供でしかないジョジョ少年。自分達と何ら変わらないユダヤ人少女を前にして価値観が変化していく。そして誰かの借り物でない本物の自己を獲得し得るのか。この過程が面白い。

空想の友人から離れること、洗脳教育から脱却すること、これらをコミカルかつアイロニックに描きながらも暖かいヒューマンドラマに仕上げてて良い映画です。
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