るぱーとぱんぷきん

ジョジョ・ラビットのるぱーとぱんぷきんのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.4


映画ってこういうものだよね。
そんなこと思わせられる作品でした。


本当であればネタバレしまくりで良いところ全部ぶちまけたいところですが、我慢!

とにかくストーリーのテンポが最高です。
物語全体がポップなコメディタッチで面白おかしく進んでいく中随所に散りばめられている、思わず目を背けたくなるほど“哀しく“なる場面、『わかるわ〜』と頷いてしまう“トキメキキラメキ“な場面、どんな時でもやっぱり頼れるのは友達、そんな“友情“を描く場面。

えっ、全部描いちゃってますやん。
こんな映画ありますか???
たった109分の中でこんなに感情が揺さぶられる映画はそうそうありません。

主人公ジョジョは、全然振り切れてないヒトラー万歳や、お母さん大好きなところ、エルサに対するツンデレ具合など本当に10歳のリアリティが上手く描かれていて、それに相まってデイビス君の素晴らしい演技。(特に“表情“が凄かったですね)
海外の子役の圧倒的な演技力を見せつけられてしまいました…。

ユダヤ人のエルサも、物凄く賢くて、現実を受け入れていて、あの歳では考えられないほど冷静で、落ち着いて物事を考えられる美人な少女ですが、やっぱり“親“を前にすると子供っぽさが出てしまうそんな可愛いところをこちらもまた演技で見せつけられました。

そしてなんと言っても素晴らしいのは母、ロージー。本当に心が強くて、こんなにも『時には厳しく、時には優しく』を完璧にこなしている母親みたことありません。
物語全体がヒトラー万歳で進む中唯一、中立の立場にいたのがロージーで、ジョジョの心情を表す上で非常に重要な役割を担っていました。スカヨハ、あなた凄すぎよ…
正直、アカデミー賞は助演の方で獲って頂きたいという超個人的な願望。笑
マリッジストーリーの時も勿論素晴らしかったですが、今回の役の方がハマっていた気がしますね。

そしてそしてジョジョを取り巻く人々。
特に、ジョジョのイマジナリーフレンド、ヒトラーの印象はやはり大きいですよね。
ジョジョが何かに迷っている時に必ず現れ、お前はナチスに忠誠を誓っただろ!と再認識させにくるこれもまたジョジョに取っては大事な存在。そしてこれはジョジョと同時にこの“国“全体がナチス、そしてヒトラーに洗脳されていることを表しているものだと思います。このヒトラーを演じているのがまさかのワイティティ監督。
観る前は知らなくて、観ている途中でえ、これ、監督じゃね?と気づき、いや凄すぎやろあなたと思いながら観ていました。笑
ほんとに尊敬します。

他にも、どうやったって憎めない、むしろ好きになっちゃうよそんなの。ってな感じのキャプテンKいや、キャプテンサムロックウェルや、ブラックジョークを言わせたら右に出るものはいないレベルウィルソン、2番目とは言いつつもこいつ以外はもう誰もいないジョジョの大切な親友ヨーキー。など本当に個性豊か過ぎるキャラクター達がこの映画を彩っていました。

この映画を観ている中で一番考えさせられたのは、戦争シーン。今まで戦争映画を観てきた中で、“子供“や、“女性“が“戦闘員“として戦争に参加している場面があんなにはっきりと描かれている作品をほとんど見たことがなかったので、それを見せられた時にこれが本当に起きたことなのか…と複雑な気持ちになりました。
世界が大きく動き始めている今、改めて戦争について考えさせられました。



終盤、ジョジョとエルサのあるシーンでジョジョがとったあの行動がジョジョがもう立派に“自立“したことを表していて、そこで感無量。これぞ映画。

からのラストのあのシーン。あの曲。
こんなに“美しく“終わる映画ありますか?
いやないです。あるはずがありません。


こんな感じで書き始めると止まりませんが、久々に良い映画を観させてもらったなという感想です。
皆さん是非に!