戦争やナチスの描き方に賛否あるようだが、その点は気にせず十分に楽しめ、心を揺さぶられる映画だった。
確かに「軽さ」が気になる場面はあったが、そこは監督の「あえて」の演出であり、そう考えれば素直に作品の世界に入ることができるはず。
ジョジョとユダヤ人のエルサを中心に話は進むが、なんといっても母親役のスカーレット・ヨハンソンが素晴らしかった。
「ロスト・イン・トランスレーション」「her/世界でひとつの彼女」以来の名演だったと思う。母親としての優しさと強さ、戦争への怒り、そして夜の屋根裏では弱さを堂々と表現していた。
全体的に笑いともどかしさ、恐怖と悲しみが激しく入り混じる構成となっており、若干、観客は戸惑うかもしれない。反面、その切り替えをうまく利用して、最愛の人の死を発見するシーンにつなげており、そこは涙なくして観られなかった。
終わってみれば、2時間弱を飽きることなく楽しめ、「愛は最強」「絶望は終わりではない」というテーマが真っ直ぐに伝わってくる秀作だった。個人的には終わり方がとても好きだった。
小さな子供を持つ親、そして親から離れたがっている多感な中高生に特に観て欲しい映画。
