このレビューはネタバレを含みます
ギレルモ・デル・トロ監督による立体アニメーション作品。
内容はダークでファンタジー。
戦時中、息子を亡くした父親・ゼペット(爺さん)が息子に似せた木彫り人形を作ると精霊が現れて命を吹き込む。ゼペットにとっての“良い息子”を目指して日々学んでいくが、様々な困難が彼を襲う。戦時中というシビアな時代性もあるけど、人々は私欲が強く、永遠の命を目の前にした大人たちは子供でさえも金儲けや戦争の道具として容赦なく使おうとする。(でも無条件の永遠なんて無い)ゼペットはその大人たちから息子を守ろうと奮闘します。そして、信じ合う心で親子となった彼らは…
テーマがとても難しい💧なんとなくは分かるけど上手くまとめられない。戦争を背景に引き起こされる悲劇、人間の中の悪魔、人種差別・異文化嫌悪(?)、単なる血統よりも大切な繋がり方があること、などなどたくさんの要素が詰まってます。盛りだくさん過ぎて、一本の映画になっていることが凄い。
そしてやっぱり注目すべきは美術面。立体アニメーション作品とは思えない画面の綺麗さ。全てCGかな?と思うくらい不純物のない綺麗な画面で、動きや演出が写実的、質感表現も緻密で、相当な熱量と手をかけられた映像である事が伝わってきます。実際にメイキング映像の方で15年の歳月をかけたとありました、感服。撮影用に何体もいるはずのキャラにブレがない、本当に職人技です。でも今は機械とリモコンも使える時代なんですね。それにしてもあの滑らかな動きを作るために何枚撮ったのか…
人間ではない生き物を人間スレスレに描くことが得意なギレルモ監督、見た目がどうであれその生き物が愛らしく見える演出が毎回好きです。
今作もリアルとファンタジーの融合具合が面白かったです!
(ただ、、、精霊の出てきた意味がうまく掴めない。とてもリアルで土台がしっかりある内容だからこそ考えてしまう。精霊の単なる気まぐれだったのか。純粋にファンタジー展開として飲み込むべきなのか。ゼペットは職業柄イエス像を作っている人なので、それが報われた?と思ったけど精霊ってキリスト教っぽくはないよね…??笑
戦時中に子供を亡くした人は多かったはず。そこでゼペットが選ばれた理由は…標的にされていなかったはずの小さな街でたまたまその悲劇にあったのがゼペットだったからなのか…何か見落としてる?🤔続)