タイトルとパッケージだけ見ればこれは完全にポルノビデオです。
だがしかし脚本が実によく作られていて、深夜のCSテレビで何気なく観始めたら想像より面白くてそのまま最初から最後まで見入ってしまった。
ストーリーはざっくり言うと『人工知能搭載ラブドールが感情が芽生え始めて（シンギュラリティを起こして）主人公の男性に恋をする』というものなのだが、セリフがいちいちグッとくる。
例えば主人公の為に好きでもない他の男に身体を捧げたことを主人公に打ち明け、「私は機械だからどこも傷つくことはないのよ」と明るく言い放つし、
主人公が彼女とファーストキスをしたのを知った時には主人公に対して「どんな感じでキスしたの？同じように私にもしてみせて」とキスをせがむ。
導入などところどころポルノビデオ的なノリは有るけど『機械と人間のSFラブストーリー』というテーマに対してはとても真剣に描かれていて、
ポルノビデオならではの官能的なキスシーンやベッドシーンもストーリーにどこか深みを与えている。
オチもハッピーエンドでもバッドエンドでもない鑑賞者の想像に委ねるようなものになっていてホロリと泣かされてしまった。
小道具などにチープ感はあるけど、これはもはや単なるポルノビデオではなく立派なR15指定の映画だし、そう思うことに何の違和感もない。
深夜にたまたま観始めたらまさかの掘り出し物。一時間ちょいでサクッと観られる傑作です。
