ハンダゴテゴテ

天気の子のハンダゴテゴテのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
4.0
いわゆる、新海誠らしさ、どこかもやっとするセカイ系らしさをギリギリまでマス向けに薄めてヒットした「君の名は」のヒットの後なので、正直よりマス向けの作風なのかなぁと予想しながら鑑賞した。
全然違った。
新海誠にセカイ系の塊でぶん殴られた。
過去作のどれよりも写実的に描写された東京・新宿の街も、くどいほどの企業タイアップによって劇中に登場するロゴの数々も、現実と変わらない世界、キミとボクの関係なんて意味を持たない絶対的な現実のメタファーであり、そのアイロニーによってより、主人公とヒロインの関係がその世界を変えてしまうセカイ系を肯定する材料になっている。
また、須賀がラストシーン前に「お前達が世界を変えてしまったなんて思うな」と主人公に慰めの言葉をかけていたが、それをバネとして受けてのラストのtheセカイ系宣言、これには痺れた。
不満点を挙げるとするなら拳銃のくだりで主人公が社会から追われるようになってしまうのだが、それなら拳銃ではなく晴れ女活動が原因にしても良かったのでは?と思ってしまう。
結局それによって障害となる社会と彼女の力が相対関係にならないので、主人公の主張が今一つ説得力に欠けてしまうかなと感じた。