ぶらいとん

2分の1の魔法のぶらいとんのレビュー・感想・評価

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
4.4
お父さん探しであり、兄弟愛を描いた作品。お父さんが残した息子2人への贈り物はまさかの自分を1日だけ復活させる魔法。魔法を使えるのは、オカルトオタクな兄ではなく、自信がなく意見が言えない弟だった。しかも信じる力や念じる力がないと魔法が効かないという仕組みがこの物語に没入させ、後半はイアンがんばれ!と必死に応援していた。お父さんが下半身しか復活しなかったので、靴でしか対話ができない。上半身の表現が大事なアニメーションにおいて下半身のみのキャラを作るというチャレンジと見事にその制約を良い味に仕上げた製作陣に拍手。ラストは前半の伏線がすべてきれーいに回収され、兄と弟の旅のゴールが綺麗な夕焼けで映し出される。うるっとくる。

魔法ものって魔法いいなぁってなるのに、習得に何年もかかって火や電気を生み出すのであれば、スイッチひとつで電気がつくほうに、ラクな方に進んで、魔法が使われなくなる、という設定も見事。確かに、魔法っていらないじゃん、と。

本作はコロナ禍での上映で視聴率が少ない気がするが、絶対見て損しない作品。毎回毎回完成度が高いピクサーには脱帽です。