キャトラーズ

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのキャトラーズのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

あーー無理無理無理。
スパイダーマン軽々しく越えられたわコレ、
スパイダーマンどころか
MCU始まって以来の大発明ですわ。



いや〜立志舎のCMばりに
どこまでもどこまでも果てしなく
サム・ライミだったねぇ、尻尾の先まで。
ゾンビストレンジvsスカーレットウィッチって
もうバカ映画の域だよ、終盤は笑い堪えるのが大変だった。




俺は今までの作品群の中で
釈然としない部分が2つあった。
1つ目は、アクション映画経験関係なく
いろんな監督が様々なヒーローを撮ってきたけど
アントマン以降ぐらいから
描き方と作品のノリが固定化されている
ような感覚があったことだ。

ヒーローが挫折したり失敗したりして
なんやかんやあって敵に勝って
間にザ・アメリカンコメディみたいな
ノリの会話があって伏線回収して終わり。

という流れ。特にこのザ・アメリカンコメディ的な
笑いのノリが全ての作品共通で違和感があった。
というか正直な話、
〝どんな監督であってもマーベルになる〟
と感じていた。
良い意味では駄作って駄作も生まれず
平均点を出してくれる、
悪い意味では監督自身の個性は
そこまで感じられない。
(まあそこは原作ありきで雇われ感満載の
作品であるから仕方ないのかもしれんが)

それをサム・ライミは今作でブチ壊した。
なんなら「俺がやるんだから
これぐらいやんねぇと意味がない!」と
言わんばかりの100点満点のホラー描写と
終盤でのアイディアの掛け算の応酬。
ラストのブルース・キャンベルのカメラ目線での
セリフまでしっかりと魅せられてしまって
もう観賞してる側は完敗を認めざるを得ない。
これは次のMCU作品にドデカイ影響を
与えたのではないだろうか、
「あ、ここまでやっちゃっていいんだ…」
っていう。


二つ目は、ドクター・ストレンジって
魔術の使い手なのに魔術の描写
結構ショボくね?…感だ。
一作目は能力を得て間もないから仕方ないとして
インフィニティ・ウォーやエンドゲームに関しては
迫力はあるものの、正直言うと
想像を遥かに超えるほどではなかった。
だが、今作は素晴らしい。
アクションがズバ抜けて良い!
ドクター・ストレンジvsドクター・ストレンジのシーンなんか
映画飛び越えて新次元のアートになっていた。
スカーレットウィッチの魔術描写も
今までと一線を画す迫力とワクワクがあった。
もちろんイルミナティのアクションもアッパレ。

この〝やりたいことやったもん勝ち〟精神は
今後の監督たちにプラスに働くだろうが、
この2つ目のアクション描写については
大きなプレッシャーになるだろうと感じる。
ここまでキャラの持ち味活かしたまま
新しいこと出来んのか?と。



イルミナティのカメオ出演も最高だった。
プロフェッサーやカーターは
予告から分かってたことだけど
Mr.ファンタスティックはビックラこいた。
しかも役者はずっと噂になってた
ジョン・クラシンスキー!
(まあヒゲぐらいは剃ってほしいが)
正直、お前如きでスカーレットウィッチに
太刀打ち出来るわけないのに
マンキンで戦おうとしてるところが
最高に〝らしさ〟満載でグッドだ。


ただここでガッカリした部分もあった…

ウルトロン居るならアイアンマン居ると思うやんけ!!
しかも噂になってたトム・クルーズで来ると思うやんけ!!!
コッチは笑う準備万端にしてたのによぉ〜、
まあプロフェッサーがボケ老人じゃなく
プロフェッサーとして新しく記憶されたことだけ良しとしとこう。


ブルース・キャンベル老けてたなぁ〜…
吹替も江原さんで完璧だった。
ブルース・キャンベル出ると
サム・ライミ観てるなぁ〜って感じれて
なんか安心すんだよね。


それにしてもゾンビストレンジって発想は
最高にバカだった。
悪霊がいちいち喋ってきて笑えてくる。
「魔術師なんだから悪霊操ればいいのよ!」
っていう一周回って機転が効いてるように見えて
その実〝何言ってんだコイツ…〟感否めないセリフで
ストレンジが目覚めた瞬間
もはや現代の音楽シーンにおいてですら
滅多に聴かない古臭くカビの生えたような
ギターのチョーキング入ったり、
90年代B級映画感が漏れるダサさがたまらん。
そうなんだよ、確かに楽譜のバトルは
秀逸かつクールだったりするけど
時々音楽がダサいんだよ今作。笑
本当どこ取ってもサム・ライミ味、
ドクター・ストレンジの包装紙で包んだ
正真正銘サム・ライミ味なのだ。


スパイダーマンは
どうしてもカタルシス込みで
観てしまうから評価しにくいが、
作品単体としての完成度と満足感は
間違いなく今作が頭一つ抜けてしまった。
久しぶりに4DXで観に行こうかな。
でも次作のストレンジ映画は違う監督にやってほしいな、
これを超える超えないの話じゃないから。
今作は初めてマーベルもといディズニーに
いち監督がその作風で打ち勝った偉業として
いつまでも堂々と君臨しててほしい。
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