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シークレット・ヴォイスのmのレビュー・感想・評価

シークレット・ヴォイス(2018年製作の映画)
4.5
あまりに不自然で抽象的なカットが意味するもの。
冒頭とラストが繋がり、彼女らの関係性が浮かび上がる。

彼女は海に沈む彼女を救う。
それはイコールこれで終わりではないんだろう。
搾取は続くんだろうなぁ、と思うと恐ろしくなった。

『マジカル・ガール』で惚れてしまったカルロス・ベルムトさんの新作。
彼の作品の創りかたが物凄く好き。
幾重にも重なる本質。
また、本質をストレートに描かない創り方が美しい。
本質を難しく描く監督は沢山いるけれど、彼もまた唯一無二な者。

BGMとミニマリズムなインテリアに目を引かれる。
激しいBGM、恐ろしく対称的な構図、画集が欲しくなるインテリア。
すべてにセンスを感じる。

美しさの中に混じる歪みがじわりと滲むストーリー。
母と子の繋がり。
それをふたりの女性がやりとりし複雑に絡まる様は見事。
またアーティストとしての産みの苦しみ、元に戻れない、等がその血の繋がりを更に浮かび上がらせている。

母であることが苦痛な女。
母を隠したい女。
母からの愛情を欲しがった女。
子が復活することを祈った女。
子の影に死んだ女。

これは友情か?
それも分からない。
とても不思議な作品。

ストーリー : ★★★★★
映像 : ★★★★★
設定 : ★★★★☆
キャスト: ★★★☆☆
メッセージ性 : ★★★☆☆
感情移入・共感 : ★★★★☆

cc/女と女の、秘密と嘘。
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