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アスのESRのレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
4.1
夏休みを過ごすためカリフォルニア州サンタクルーズの別荘を訪れたアデレードら一家四人が主要キャラクター。
前作『ゲット・アウト』は、主人公の抱く違和感や得体の知れない不気味さを、観客が共有する形で進むのに対し、『Us』は真っ赤なつなぎを着てハサミを持った自分たち家族のドッペルゲンガーに襲われる様を、おどろおどろしい音楽と共に、古典ホラーを引用しながら描く。

襲いかかる『Us/わたしたち』を恐怖たらしめているのは、彼らがゾンビのように何を考えているかわからない存在だからではなく、お前を殺して成り代わってやるという意志を持ち、計画的同時多発的に行動しているからであろう。

コメディパートともいえる友人宅のシーンは、「メキシコに逃げよう」「でもここには水も食糧もあるし…」というやりとりや、スマートスピーカーに「警察を呼んで(call the police)」と叫ぶも(ブラック・ライヴズ・マターとリンクする)N.W.A「F**k the police」が流れる、など切れ味鋭い。

『わたしたち』は、あり得たかもしれない自分自身であり、切り捨てられた人々であり、無自覚な自分の一面でもある。

ラストシーンを経て、それまで描かれてきたものの見方を変えると、鑑賞後にも『恐怖』が追いかけてくるような感覚が残る。
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