味平またはCafeWasabi

アイデン&ティティの味平またはCafeWasabiのレビュー・感想・評価

アイデン&ティティ(2003年製作の映画)
3.5
~ 「オワリ」は誰も止められない。 ~

すごく観たかったんだけど、いつも会社帰りにレイトショーを観るTOHOシネマズではやっていなかった。 かなり心待ちにしていたビデオ化♪

マイブームのみうらじゅんの名作の映画化。 監督はプロジェクトXの、って言うより「元ばちかぶりの」田口トモロヲ。 

「あの懐かしのバンドは今?」みたいなTVに出演したスピードウェイ。 生放送で中島は昔の歌詞を完全に無視してバンドブームを勝手に作って勝手に終わらせた「大人」たちを糾弾する唄を唄い叫ぶ。。。。

陣内孝則の「ロッカーズ」が日本のロックの「ハジマリ」の映画だとしたら、この作品はバンドブームの「オワリ」を描いた映画。

「時代」はどんどん目の前を通り過ぎていく。 でも、自分たちは「ここ」に踏みとどまることしかできない。 「流れに飲み込まれないこと」にすべての力を使い果たしてしまう閉塞感。

「オワリ」にどんどん近づく流れに飲み込まれないように、必死に踏みとどまろうとするのは、ものすごく「力」が必要だ。 あきらめちゃえば楽なのに、どうしてもあきらめられない自分。 そしてなによりしんどいのは、「なぜここまで?」の理由が自分の中でもみつけられないこと。

そんな閉塞感。

そして、すべてが終わったあとも、中島たちは1ヶ月に1回のペースでちっぽけなライブハウスでライブをしている。

「オワリ」は誰も止められない。 でも、「必死に踏みとどまろうとした自分」がいたからこそ、「今ここに立っている自分」がいる。 自分だけのための「今ここ」がある。

(2004/10/2 at TOHOシネマ市川コルトンプラザ)