テリー微糖

宮本から君へのテリー微糖のレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
4.5
黒澤明の代表的な
ヒューマニズム映画である
「生きる」や「赤ひげ」から
理性を引っぺがして

本能剥き出しの人間の
醜くてブザマな部分を
先鋭化させるように
ドラスティックに
スクラップアンドビルドして
全く違うテイストに変奏した
新井英樹イズム全開の人情映画

宮本という男に共感できるかという
「男目線」で語られがちな作品だけど
むしろ逆で、
「女性目線」で観るのが
面白いのではないかと思う

今作の最大の素晴らしさは
なんといっても「蒼井優さん」!

「ツンデレ」なんて
安っぽい言葉じゃ括れない
もはや神秘の領域に突入した
暴力的抱擁力の温かさに浸るだけで
涙腺壊れちゃいます

大切なモノ、欲しいものを
常に渇望するくせに
それが手に入ると
途端に見向きもしなくなる
男という生き物の
「どうしようもない醜さ」

何かを壊すことでしか
愛情表現が出来ないばかりか
「自分を維持することすら
ままならない弱さ」

これらを引っ括めて
全力で向かい合う
「たった1人の女性」の
生命力に溢れた力強い生き方に
震えて、悶えて、爆泣き。

「女は1人じゃ眠れない」っていう
楽曲があったけど
「男は1人じゃ目覚めない」というね…

最後にこれだけは言いたい!

エンドロールシークエンスと
主題歌のマッチの仕方は
今年の下半期では
現状ぶっちぎりのトップです!
テリー微糖

テリー微糖