ヘイ

よこがおのヘイのネタバレレビュー・内容・結末

よこがお(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

試写会にて

真綿で徐々に徐々に
首を絞められていく、
そんな感覚に陥るほど
静謐ではあるけれど
エネルギーを感じる作品だった。
だけれども、その息苦しさは
最後まで解放されることも
窒息することがなかった。
見終わった後ですら、
その息苦しさ、ぴんと張り詰めた
状態の自分がいる。

全ての登場人物の行動が
共感できないわけではなく、
むしろ自分も感情的に
なってしまった時、
取ってしまう可能性がある。
だから映画のようなマスコミに
囲まれるシーン等、自分が
主人公のようになってしまう、
そんな未来も見えてしまうのが
恐ろしい。
最後の筒井真理子が市川実日子を
轢こうとするシーン。
いっときの感情に任せていれば
轢いていた。
あの時いちこはどういう考えを逡巡させたのだろうか。
信号機の音から、以前二人で動物園の帰り
はしゃぎながら走った信号機でのことを思い出したのか、看護師になった姿を見て懐かしさを覚えたのか、はたまた自身の決して若くない体を使ってまで行った復讐が届かなかった自分を愚かしんでいたのか、
たくさんの思い思いがないまぜになった結果があの長いクラクションだったのかも。

そしてよこがおというタイトル
多くの人は二面性、多面性を
持っているにも関わらず
人間の一面的な顔を
過信してしまう。
それはメディアによってつくられた
顔も然り。
そんな意図を感じた。

とにかく、観た後色々考えさせてくれる。
面白いとおもうし、何より好み。
いろんな人に観てみてほしい。
ヘイ

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