nann

よこがおのnannのレビュー・感想・評価

よこがお(2019年製作の映画)
4.5
主人公、市子の感情はわかるし、加害者ってわけでもないと思う。たしかにあとから責められると、その時の選択はまあ、間違ってた、か。。と思うけれど。それでも重罪ではないでしょう。
だからずっと市子の気持ちに寄り添って観ていけた。
一方、基子のやることは正直言って理解はできない。だからむしろ色々と想像して彼女のバックグラウンドについて考えてしまった。本来、介護の仕事に就くような(あのラストシーンの姿のように)真面目な人間なのだと思うし(それも偏見か、)。基子は、市子のことがはじめから好きだったのだと思う。それは見ていればなんとなくわかる。
家族が自慢するような恋人がいるけれど、それも表向き、ただの一面の姿なのだろう。

現在と過去が交錯する構成は、はじめは少々混乱したがそれも最初だけで、後半に行くに従い落ちていき、ラストは爽快って言い方は違う気がするけど市子と気持ちが合わさり映画の至福を味わった。

(19/12/21)新文芸坐で再見。
上映後に深田監督の短い舞台挨拶あり。
海外の反応は? の質問に、今年ヒットした『ジョーカー』と比較されることが多かった。ラスト、実際市子のようにアクセルを踏めない人がほとんど。ジョーカーだったら踏める。現実の人生では、色んなことを噛み締めてそれでも人生は続く。そんな話が印象に残った。
改めて好きな映画だなと思った。
映画を観ながら、こうすればいいのに! と思っても、実際にそんな場面に遭ったとき、適切な選択をできないことは多々あるような気がする。
一度目に観たときにも感じたことで、市子が和道と寝たあとに、「復讐」だと言うシーン、なんとなく違和感というか、これがファーストシーンで見た市子(リサ)のやりたかったことなのか? これが本当に目的なのか? というより映画としてこれでいいのか? みたいなことをぐるぐる考えてしまう。そしてあの緑色の髪の市子が湖の前で佇むシーン。あれを、どう捉えればいいのか…
nann

nann