gaga

ハミングバード・プロジェクト 0.001 秒の男たちのgagaのレビュー・感想・評価

4.0
 要するに、彼らがやってたのは「ハイ・フリークエンシー・トレーディング(HFT)」*だと。
 株式売買のタイムラグを利用して、後出しジャンケンをするなんてチートじゃないか!?
 マネーゲームの課金勢が本気を出すとこうなるのか(笑)、と驚き呆れるしかない作品。

 コンピュータによる高速取引を実現するため、広大な土地を買収し、大勢の作業員を雇って採掘工事を行う。
 それら莫大な投資をしてもなお、儲けられるのだろうか?直感的には理解しづらかった。
 しかし、一度システムを築いてしまえば、毎日発生する大量の取引に入り込み、利益を生み出すことができるようだ
 
 さて、このハミングバードプロジェクトを、アスリート達が世界記録を塗り替えていくような、人類の進歩としてみるのか。
 あるいは、実体経済を支える“レモン農家”を無視して、少数の投資家を潤すだけの、バカげた資源の無駄遣いととるか。
 いずれにせよ、彼らのやってることは、パンピーからすれば、正気の沙汰ではない。
 人間が実態のつかめないものに熱狂する様を、巧みに捉えており、ストーリー展開も気に入った👍

 また、普段は意識しない、インターネットの裏側をおのずと意識させられる。
 地下ケーブル、光再生器、データセンター、アンテナといった物理層で、確かにネットワークはそこに在るのだ!という感動体験✨

 本作も『ソーシャル・ネットワーク』と同様、ジェシー・アイゼンバーグが演じる、インテリゆえに早口でまくし立てちゃうキャラは、健在。
 一番の衝撃は、アレクサンダー・スカルスガルド。イケメンマッチョな『ターザン:REBORN』とはうって変わって、同一人物とは気づかなかった。元上司からペチャっとハゲ頭に水かけられたり、アイデア閃き後の我流ダンスはジワジワきた(笑)

 ただし!…邦題がダサい。
原題『The Hummingbird Project』や、
原作『フラッシュ・ボーイズ』まではイケてるけど、
「0.001秒の男たち」てなんやねん!?
 パッと見、機能不全の“早”すぎる男たちが自信を取り戻すコメディ映画、と勝手に想起してしまうのは、俺だけ?


*日経新聞『覗かれる株注文データ 高速取引、個人に先回り』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52202780V11C19A1000000/?unlock=1
gaga

gaga