やこぺってぃ

閉鎖病棟ーそれぞれの朝ーのやこぺってぃのレビュー・感想・評価

閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー(2019年製作の映画)
3.3
うん、なるほど。という感じ。
これを精神科のこととか、病気のこと、障害のこととかを知らない人が観たら、どう感じるのかな、とすこし不安。というか、映画として、ちょっと雑。雑だった。

俳優陣は凄く良い。病棟の他の患者さんたちの演技なんか、めちゃくちゃうまい。とてもリアル。だから、ほんとに、役者陣は良かった。実際の閉鎖病棟を使ったみたいだけど、ほんと、そこだけは現実から切り取ったみたいに再現性高くて、びっくりした。あと、看護士さんとかの、あの鍵をかける動作とかも、あーそういう感じだよねーとか。見慣れてる光景で、そういう行動がしっくりくる役者たちの演技はよかった。

でも、欲張りすぎだし、ゼンッゼン優しくない脚本。
一人一人抱えるものがとても大きすぎるのに、それに関して、浅く触れすぎてとても誤解生みそうだし、やり切れない感情しかない。
こまつななちゃんの問題だって、その後の経過とか、その時の適切な対処とか全然描かれてないから、やり切れない。あまりにも浅く描かれすぎる。
そして、綾野剛も、あのあとどんなケアされたのとか、凄く簡単に書いてるけど、それでいいの?とか。鶴瓶も、めっっちゃくちゃ重いものだから、あんなラストで片付けられるものじゃないでしょ?

あっけなくエンドロール流れて、びっくりした。え、ほんとにこれで終わるの?終わっていいの?こまつななちゃんの心の傷はどうするの??鶴瓶の問題ってそんなに軽く終えていいものなの??とかめちゃツッコミどころ満載だった。

あと、まぁ、これは結果として悪としか言いようない患者さんが、悪役としてしか描かれていなくて、その人にも事情があるんじゃないの?とか、なんか、悪役は悪役らしく終わっとけばいいみたいなかんじで、すっっごく嫌だった。それが一患者さんだし、なおさら。その人にもその人の歴史があるんじゃないの?え、そんな終わり方していいの?え?てか、そういうことさせていいの?とかいろいろ疑問。

これは原作の問題なのか?脚本なのか?

心理の立場からすると、悪役として見られる患者さんを悪役としてしか描かれないとか、そういうオチにしてしまうあたりが、なんか嫌だったし、全てが浅くなってて、とてつもない酷い事実ばかりが羅列されてるかんじで、嫌だった。酷い事実ばかりで、感動させようとしてるのか、これは。

とにかく、嫌だった。
でも、役者の演技は素晴らしかった。

これ観るなら、「カッコーの巣の上で」とか、「17歳のカルテ」とか見たほうが絶対にいい。
やこぺってぃ

やこぺってぃ