ルーク大佐

フォードvsフェラーリのルーク大佐のレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
3.7
それ相応の興奮や感情の揺れを楽しめるものの、『グランツーリスモ』ほどの無条件のエンタメクオリティを味わえなかったのは、ファクトの縛りだったと思う。歴史的事実の縛りをうけたというか。

ル・マンレースでケンが選んだ決断は、事実のしばりさえなかったなら違う行動になったことだろう。あのモヤモヤが観客のカタルシスの邪魔をしている。ケンの気質や行動をみれば、なぜあの行動を選んだのかが理解できない。

理由について映画内で説明すべきだ。そこをないがしろにしている点が残念ポイント。チームワークの精神を持つことの重要性に気づき、ケンは精神的に自己成長を遂げたというのならば、そう表現してほしかった。

ケンの悲劇とラストシークエンスの演出もいまいち納得がいかない。ぼやかして遠目で描くのも意味不明。子どもとスパナについてもっと味わいのある言葉をかわしてほしい。マット・デイモンの泣き演技もキマッテない。残念。レースシーンの迫力と撮影テクはすばらしかった。
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