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フォードvsフェラーリのコロンのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
4.0
1960年代半ばのモータースポーツ界に君臨するフェラーリを打倒すべく、ル・マン24時間耐久レースに果敢に挑んだ男たちの挑戦と友情の実話。モーターレースの迫力やピットの舞台裏など映像がとてもリアルで臨場感が物凄い。フォードとフェラーリの理不尽な大企業の圧力に翻弄されながらも、レースへの純粋な情熱を滾らせ、遂にはル・マンでフェラーリを打ち負かすという偉業を成し遂げたシェルビーとマイルズに喝采を送りたい。歯に衣を着せない言動のせいでフォード首脳陣からの評価が著しく低いマイルズを徹底して庇い、ドライバーとして最後まで信頼し続けたシェルビーの信念には頭が下がる。マイルズは1966年当時既に47歳ながら、GT40を駆ってその年のデイトナ、セブリングに連勝し、世界三大クラシック耐久レース三連覇にル・マンを残すだけとなっていた。ル・マンでフェラーリが全台リタイアし、マイルズの優勝は確実だったにも関わらず、フォード首脳陣の企業論理のエゴ(PRのためフォード3台並んでのゴール・シーンの実現)の犠牲となり、2位と裁定され、三大クラシック耐久レース三連覇の夢は潰えてしまった。そのわずか2ヶ月後、マイルズはGT40の後継車のテスト走行中にコースアウトし、事故死する。2001年、死後35年経ってマイルズはモータースポーツ殿堂入りしたという。天才ドライバーマイルズがこの映画で再びスポットが当てられて本当に良かった。命の危険を顧みず、夢を追い求めて、深い所で理解し合った男同士を演じたマット・デイモンとクリスチャン・ベール無くしてこの映画はあり得ないほど、二人の熱量に圧倒される。優しくて気丈なマイルズの妻を演じたカトリーヌ・バルフも印象深かった。
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