ルキノ・ピ助ンティ

カリーナ、恋人の妹のルキノ・ピ助ンティのレビュー・感想・評価

カリーナ、恋人の妹(2018年製作の映画)
4.0
原題は「酸」。エロ目的(エロくないわけではないが)で見ようと思う人がいるならやめておいた方がいい。

バンドメンバーの死から始まる話なのだけど、結局何だったんだか正直わからない。特に目的もないまま話は進むけど友人を助けたり、恋人の妹を好きになってヤっちゃったりとか行動は起こしていく。その反面で自暴自棄になって他人を傷つけようとして悔いたり。若者なりの厭世観が主題なんだろう。
主人公はそんな感じだから脇はしっかり固めて変化を促す。肉食を避け穏やかに過ごそうとしている母親が暴言を吐く様とか、酸を飲んだ友人の行動とか、声をなくすことと傘をなくすことを同義に捉える男とか。とにかく色んな濃い人物が出てくるし、台詞や価値観の基準でそれをしっかりと示している。
全体的には落ち着いた雰囲気だが、冒頭を見て出オチとは思わず見続けてほしい。素晴らしい花火が上がります。

追記
葬式のシーンの最後、立ち並ぶ墓石と同一の画角でクラブのシーンに繋げているところにグッときた。墓とクラブにいる人間を意図して同義に捉えている。こういうところの真意を監督に聞いてみたい。生きながら死んだ人間たち、そしてそこに主人公たちも混ざっていく。人生の中で実を得る時、その形は様々な青春映画で描かれてきたけど、この映画もまたそういったことのひとつを描いた映画なんだと思う。