すとんこ

カニバ/パリ人肉事件 38 年目の真実のすとんこのレビュー・感想・評価

3.5
パンフレット所有(600円)

1981年、フランス・パリで実際に起こった人肉食事件から38年、犯人の佐川一政はカメラを前にして何を語り、何を見せるのか?って話☆

スポットが当てられる佐川一政のカニバリズムとは、食欲として人肉を欲しているのではなく、性的欲求としての人肉食である。

殺害した女性を死姦した後に食べるという凶悪事件を起こしたにもかかわらず、フランス警察は佐川一政の供述を「昔、腹膜炎をやった」を「脳膜炎」と誤訳したことから、精神鑑定の結果、心神喪失状態での犯行と判定、不起訴処分となり精神病院送りとなった、とパンフレットに書かれてました。あなおそろしや。
帰国後は、執筆活動やタレント業、AV男優という仕事し、一躍時の人となったが、現在は脳梗塞で倒れ、実弟の純さんの介護のもと生活している。

佐川一政の帰国後の活動で執筆した「サガワさん」という人肉食の体験談を、詳細且つヘタウマ調に描いたマンガを読まされた弟の純さん、
「うわ、これはナイなぁ、気持ち悪いなぁ。ボクの趣味じゃないなぁ」
などとやんわり拒絶反応を示しつつ、兄の知られざる性癖を38年越しで知ったことに気を良くしたのか、純さんの隠された性癖を披露します。

自身の性的異常性を認めながら、実弟の純さんにはノーマルでいて欲しかったのか、純さんの度を越えたハードSM趣味であるという驚愕告白に、「驚くには値しない…」と発言しつつも静かに涙を流す佐川一政。それに対し、もっと驚いて欲しかったのかどうか、リアクションの薄さにちょっぴり残念そうな純さんの様子。
複雑な兄弟それぞれの思いを垣間見て、鑑賞者たるわたくしも戸惑いを禁じ得ません。
さらに驚いたのは、SM用のろうそくは大して熱くなくて、純さんが愛用しているのは仏壇用のろうそくだそうです。知らんかった。

終始、二人のお爺さんのドアップで、しかもピントが合ってない画面が続き、ワンシーンが異常に長く、説明の無い状況にイライラさせられましたが、次第に彼らの語る異常性に傾聴する態勢がととのうにつれ、病的な魅力に引き込まれている自分に気付き、ゾッとします。

本作によって、性的カニバリズムという悦楽の扉を開いてしまう人がいるかもしれないな…なんて怖い想像をしてしまう一本(* ̄ー ̄)☆
(わたくし?わたくしは大丈夫ですよ!…多分…)



○キャスト○
カニバリスト:佐川一政
佐川の実弟:佐川純
コスプレメイドヘルパー:里見瑤子
すとんこ

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