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Anchor and hope(原題)のyのネタバレレビュー・内容・結末

Anchor and hope(原題)(2017年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

美しい自然の中で暮らす2人と、彼女らと親密な関係にあり、精子提供者であるスペイン人の男、3人の物語。差別的ではないものの古風な考えを持つ義母に厳しい言葉をぶつけるシーン、話者の顔でひたすらに溜めたテンションを解放する切り返しショットのパワーが凄まじい。妊娠後に子供の様子を確認するために病院を訪れた際、“病室に入れるのは2人だけです”と言われてしまうシーンだけで、濁った河のような社会の現状をスマートに表していた。ひたすら話者を映し、最後の最後全てを言い切った後に切り返しショットのキレがヤバすぎる。1シーン1シーン、役者の表情を大事にし、贅沢な時間の使い方をする印象があった。

Evaによる男に対する決別と流産(正直なところ、この女は勝手すぎると思うが)、そしてKatへの突然の別れの通告によってすべてが壊れていく。Eva自身も母親に実家から追い出され行き場を失う。終盤にもKatがひたすら思いをぶつける語りのシーンがあったが、この監督の非常に特徴的な演出だと思う。ゆっくりと河を下っていく残された2人と、突き放した女との再会で物語は幕を閉じる。原題“Anchor and Hope”が示すのは、やり直せるよ、ということだと思った。
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